「メガトレンド」を追いかけ、「5分後の未来を展望する」ことを理想します。
WTI原油先物チャート

原油は100ドル~110ドルのレンジで動いていましたが、ここ3ヶ月ほどで20ドルほど下落。

米原油先物一時80ドル割れ、ゴールドマンは75ドル見込む

ゴールドマンは26日、2015年第1・四半期の原油価格予想を15ドル引き下げた。北米を除く石油輸出国機構(OPEC)非加盟国の生産増が見込まれるためとした。

ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)を1バレル90ドルから75ドルに、北海ブレント先物を1バレル100ドルから85ドルにそれぞれ引き下げた。






原油価格「急落」の複雑なカラクリ

 10月2日、世界の原油市場に激震が走った。この数カ月間、緩やかな下降線をたどっていた原油価格が急落したのだ。
 国際的な指標となるブレント原油価格は一気に2%近く下げ、2年3カ月ぶりの安値を記録。アメリカの原油価格の指標とされるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)も先週、1バレル=85ドル台にまで下落した。
 引き金となったのは、世界最大の産油国サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが前日に、アジアとアメリカ向けの原油輸出価格を大幅に引き下げたこと。それまでアナリストは、サウジアラビアを含むOPEC(石油輸出国機構)加盟国が価格を下支えするために減産に踏み切るだろうと予測していた。
 ところがサウジアラビアはあえて値下げに踏み切り、市場シェアを守る道を選んだ。これによって競争力の低い他の産油国が市場から締め出される恐れがあると、TD証券(トロント)のアナリスト、マイケル・ローウェンは指摘する。
 ただしサウジアラビアの動きは価格下落の要因の1つにすぎない。その直前にはアメリカと中国の製造業の成長が予想を下回ると報じられ、原油需要が減速するとの見方が広がっていた。
 9月末に発表されたアメリカの消費者信頼感指数も4カ月ぶりの低水準。アメリカ経済が回復すれば原油価格も上がるはずだが、「指標を見る限り、その方向には向かっていない」と、ローウェンは言う。
 さらにヨーロッパでは景気低迷とデフレの影響で原油需要が減少し、中国のGDP成長率の見通しも下方修正が繰り返されている。9月には国際エネルギー機関(IEA)が、今年の石油需要の見通しを3カ月連続で引き下げた。
 需要減による価格の下落に追い打ちをかけるのが、供給の過剰。その最大の要因は、アメリカのシェールガス革命にある。
 米エネルギー情報局(EIA)によれば、シェールガス掘削ブームに乗ってアメリカの今年の原油生産量は過去30年ほどで最高となる日量850万バレルに達する見通しだという。
 アメリカの生産量の急増は国際市場にも影響を及ぼす。アメリカでは05年に国内消費の60%を占めていた外国産原油が、16年には25%まで減る見込みだ。
 カナダもアメリカからの輸入を増やしている。その結果、アフリカなど産油国の中には買い手が見つからず、アジアの製油所に買いたたかれる例もある。
 イラクやロシアをはじめ紛争などで混乱する国でも、予想に反して生産量が伸びている。なかでも内戦状態に陥っているリビアの復活は目覚ましい。リビア政府は7月に反政府勢力から2カ所の原油積み出し港を奪還。生産量はわずか6週間で日量20万バレルから90万バレルに回復した。
 原油価格の下落によって、世界の産油国の経済が大打撃を受ける恐れはないのか。ロンドンの調査会社キャピタルエコノミクスのアンドルー・ケニンガムは、ロシアと中東諸国については致命的な影響は受けないとみている。一方、ブラジルやメキシコ、ベネズエラといった新興国は「石油で得た利益を残しておかなかった」ために深刻な打撃を受ける可能性がある
 欧米や中国の経済が上向けば、原油価格は再び値上がりするだろう。リビアやイラクの情勢が悪化して供給が減る可能性もある。だが本格的な価格上昇には「OPEC全体の供給調整が不可欠」と、ローウェンは言う。
 最近の世界情勢の激動ぶりを考えれば、そんな「切り札」さえ万能ではないかもしれないが。






「原油価格」でロシアを追い詰める「新冷戦」の構造

国際原油価格がじわじわと下落していることに、ロシアが戦々恐々としている。ロシアのノバク・エネルギー相は9月16日、突然ウィーンの石油輸出国機構(OPEC)本部を訪れ、OPEC幹部と会談したが、目的は原油価格下落に歯止めをかけるためといわれる。エネルギー関係者は、世界的な石油のだぶつきと需要減で、原油価格は今後2-3年、1バレル=70ドル台で推移する可能性があるとみている。その場合、輸出収入の7割が石油・ガスというエネルギー依存のロシア経済は大打撃を受け、国民生活が困窮し、政府批判が高まりかねない。ウクライナ問題に端を発した「新冷戦」の推移は、原油価格がカギを握っている。

米・サウジの密談
 ロシアがクリミアを併合した直後の今年3月末、オバマ米大統領はサウジアラビアを訪れ、アブドラ国王と会談したが、ロシアの保守系紙プラウダ(4月4日付)は、オバマ大統領はクリミアでのロシアの行動を「懲罰」するため、原油価格を協力して引き下げるよう提案したと報じた。原油価格が1バレル当たり12ドル下落すれば、ロシアの国家歳入は400億ドル減少する。プラウダは「オバマはサウジにロシア経済の破壊を持ちかけた」と伝えた
 この情報は確認されていないが、その後の原油価格の推移からみて、サウジが価格引き下げに応じた形跡はない。サウジの国家予算は1バレル=85ドルを前提にしており、価格引き下げは自らの首を絞めることになる。
 過去には、米国とサウジが協力して原油価格を大幅に下落させたことがあった。1979年のソ連軍アフガニスタン侵攻後、レーガン政権はサウジに対し、ソ連に打撃を与えるため、原油価格引き下げを要請。イスラム同胞であるアフガンへの侵攻に激怒していたサウジは同意し、石油大増産に着手。80年代中盤から90年代末まで原油価格は1バレル=10-20ドル台で推移した。これがソ連経済を直撃し、ペレストロイカの破綻やエリツィン改革の失敗につながった。プラウダは「原油価格の下落がソ連崩壊の真の理由だ」と書いた
 1998年には原油価格は同9.8ドルの最安値を記録し、ロシアは同年夏、デフォルト(債務不履行)に陥った。これを受けてエリツィン大統領は盟友のクリントン大統領に価格引き上げを懇願し、米側もロシア支援のため了承。サウジも賛同したとされる。その後、中国など新興国の需要増や地政学リスクが重なり、原油価格は21世紀に入って急騰。2007年に1バレル=147ドルの史上最高値を付けたのは周知の通りだ。

「イスラム国」も標的
「エリツィンの遺産」の最大の受益者がプーチン大統領だった。プーチン政権はエネルギー企業の国家統制を強め、膨大なオイルマネーを国庫に還流させ、給与、年金の引き上げなどバラマキ政策を推進した。ロシアは毎年6-7%台の高成長を達成し、マクロ指標も好転。世界トップ10の経済大国となり、プーチン大統領は「救世主」として高い支持率を誇った。だが、プーチン政権の経済政策の失敗は、経済をすっかり資源依存体質にし、製造業を軽視したことだった。08年のリーマンショックで原油価格が一時1バレル=40ドル前後に急落すると、ロシア経済は翌年、マイナス7.8%成長に転落。その後、低成長時代に入った。
 経済危機に沈んだ90年代、エリツィン政権は旧ソ連諸国の領土保全を尊重し、他国に干渉せず、クリミアもウクライナ領と認定した。ところがプーチン時代に富国強兵が実現すると、ロシアは90年代のトラウマから脱却すべく、周辺諸国に干渉し、遂にはクリミアを併合してしまった。オイルショック後の原油価格高騰で潤った70年代、旧ソ連は中東・アフリカへの「革命の輸出」など対外膨張路線を進めたが、ソ連時代も今もロシアの勢いは原油価格次第なのだ。
 オバマ大統領は9月10日、アブドラ国王と電話協議し、今回はイラクやシリアで猛威をふるうイスラム過激組織「イスラム国」を封じ込めるため、組織の資金源となっている石油の価格引き下げを要請したという。米政府は他の湾岸諸国にも価格引き下げを働きかけている模様だ。オバマ政権の原油価格引き下げは、当面の敵である「イスラム国」とロシアを標的にしているかにみえる。
 英紙フィナンシャル・タイムズ(9月6日付)によれば、サウジはこれより先、アジアや欧州向け原油価格を10月に引き下げることを決めた。原油供給が過剰となる中、サウジの減産説があったが、当面減産はしない方針という。国際原油価格は8月中旬に1バレル=108ドルの高値を付けた後急落し、9月中旬には同91ドルまで下落した。

「ウクライナ停戦」も経済危機から
 エネルギー専門家は「イランやイラクが石油のダンピング攻勢をかけているほか、米国もシェールオイルの輸出を解禁するなど、原油供給が過剰になっている。一方で、欧州連合(EU)の経済停滞や中国経済の減速で石油需要が低下しており、今後原油価格の下落が続くのは確実。地政学リスクは今回は考慮されていない」と指摘する。
 原油価格が1バレル=91ドル台となった9月15日、ロシアの通貨ルーブルは1ドル=38.18ルーブルとプーチン時代で最安値を更新した。ウクライナ問題に伴う欧米の経済制裁で、株安・通貨安・債権安のトリプル安が続いていたが、市場は今後の原油安を想定し、ルーブルを売りまくっているようだ。これが物価高や資金逃避の悪循環を招いている。加えて、ロイター通信(9月8日)によれば、西シベリアの油田が枯渇化により生産量が低下しており、来年からロシアの石油生産が低下する見通し。新規油田開発が急務だが、欧米の経済制裁で掘削技術は禁輸となった。
 ロシアの国家歳入の約半分は石油・ガス収入といわれ、1バレル=104ドルを前提に国家予算を策定している。原油価格下落は歳入を減少させ、プーチン大統領得意のバラマキ政策や国防近代化計画に支障が生じる。モスクワのセルゲイ・グリエフ新経済学院前学長はモスクワ・タイムズ紙(8月17日付)で、「前例のない欧米の経済制裁は、既にロシアに強力な打撃を与えている。ロシア政府も投資家も追加制裁を恐れている。ロシアは自給自足経済になりつつあり、それは国民の生活水準を低下させ、プーチンの支持基盤を揺るがしかねない」と指摘した。経済の低成長や欧米の経済制裁に原油価格下落が加わるなら、ロシア経済にはトリプルパンチとなる。9月5日のウクライナ政府との停戦合意は、ロシアに忍び寄る経済危機の文脈でみる必要がある。原油価格下落が続くなら、ロシアは弱体化し、融和姿勢への転換があるかもしれない。

米は「シロビキ」を狙い撃ちに
 ロシアの基幹産業に対する欧米の制裁を見ると、米国とEUの間には微妙な違いがある。EUは大手エネルギー企業や金融機関を平等に制裁対象としたが、米政府は国営石油会社ロスネフチやガス企業ノバテク、開発対外経済銀行(VEB)を標的にしている。ロスネフチはプーチン大統領最大の側近であるセチン社長、ノバテクは大統領の金庫番とされるティムチェンコ筆頭株主・共同経営者がトップで、VEBと併せ、強硬派のシロビキが幹部を固める。
 これに対し、メドベージェフ首相系とされる天然ガス企業のガスプロムなどには本格制裁に踏み込まなかった。オバマ大統領はプーチン大統領とは犬猿の仲だが、政権内穏健派のメドベージェフ首相とは親しく、首相が大統領時代に新戦略核削減条約(新START)を締結した。プーチン側近らを締め上げ、改革派を擁護して政権内の対立を増長させようとするオバマ政権の深謀遠慮が感じられる
 ただし、ロシア指導部では、日露関係拡大派がプーチン大統領やセチン社長ら保守派であり、国後島を2度訪れたメドベージェフ首相は反日の頭目となった。日本側はオバマ路線に乗ることはできず、日米間で対露外交にねじれ現象が出てきそうだ






2014.08.11 「イスラム国」の戦闘能力を過小評価していた米情報当局
【過激派の「イスラム国」】 石油密売、安定資金源に 収入、1日3億円の推計
裕福なイスラム国、その財源は?




石油価格の大幅な下落は、世界的な経済低迷での需要の減少もそうでしょうが、

決定的なのはそれでもサウジアラビアが原油生産量を増やす方針を出したことでしょう。

なぜ?と思いましたが、対イスラム国という可能性が強そうです。

アメリカの狙いは、今年2月のロシアによるクリミア併合への制裁だったのでしょうが、

サウジアラビアはそこまでしてロシアと敵対するメリットがない。

ですがここにきてイスラム国の中東地域への影響を無視できなくなりアメリカの案に乗ったのではないでしょうか。

結果的にアメリカの思惑通り。
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